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叡知の言葉132

「人生二度なし」といえば、それだけでは之を抽象的だとは何人も思うまいが、しかしこれを、
「人生は唯一度のマラソン競走」だと言えば、この方がより具体的なことが分かるであろう。

『巻頭言集』

森の人生観を凝縮した「人生二度なし」という箴言は、これまでも何度か紹介してきました。
二度とない人生を全力で生きる、という意味なのは言うまでもありません。

しかし、「人生は唯一度のマラソン競走」と表現した方がより具体的だと森は言っています。
確かにこの方が人生の実相がよりリアルに迫ってきます。

この場合、スタート地点が出生で、ゴールが死です。
レース序盤は親の庇護を受け、比較的快調に走れるでしょう。
実力を問われるのは中盤からで、ここから差がつき始めます。

しかし本当の勝負は、体力が消耗する終盤です。
功成り名を遂げた人物がスキャンダル等で失脚する場合もあり、最後で順位が大きく入れ替わることも珍しく
ありません。

もっと言えば、ゴールを間際にしてアクシデントで棄権、ということだってあり得ます。
順位以前に、ゴールまで走りきれるかどうかが問われるのも、マラソンの特徴です。

このたとえには、人生に対する深い示唆があります。
私たちが一喜一憂する、就職、昇進、結婚、子育てなどのライフイベントは、あくまで途中経過に過ぎません。

それらを通過した後、どうゴールするかが、最終の人生の課題でしょう。
とくに人生八十年時代においては、六十歳以降の過ごし方が非常に大切になってきます。
すべきことをやり残して、悔いを残さないようにしなければなりません。

森は六十四歳で神戸大学を定年退職した後、著作活動と全国教育行脚に取り組みます。
六十九歳で神戸海星女子学院大学の教授に就任し、八十五歳まで教鞭をとりました。
続全集八巻が完成したのは八十八歳の時です。

誰にでも真似のできる生き方ではありません。
まさにゴールまで全力疾走し続けた生涯だったと言えるでしょう。

作家 宮下隆二