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叡知の言葉146

人間の「智慧」のはたらきを支えて、それらを成り立たせているものは、結局、人間心理への
洞察である。

『幻の講話』

これまで度々引用してきたこの『幻の講話』という作品は、『隠者の幻』『ある隠者の一生』という作品の、
姉妹編的な位置付けになっています。非常にユニークな設定です。

その概略をご紹介しておきます。敗戦を機に東大助教授の座を投げうって全国行脚をし、比叡山中で修行中に
没した有間香玄幽という人物がいます。

彼の年若い弟子の名児耶承道は、先師の跡を慕って比良山中に籠山し、七年間そば粉と松葉だけの生活を
続け、下山後は先師に連なる縁をたずねて全国を巡ります。

ここまでが前二作の筋立てで、その最中にある道友の校長先生に頼まれ、週一回中学校で講話をするという
設定で書かれたのが、この『幻の講話』です。

森の不朽の名著『修身教授録』は実際に師範学校で行った講義ですが、『幻の講話』は架空の講義です。
しかしそれだけに、森の思想が凝縮されているとも言えます。

さて、内容について触れておきましょう。
森は人間の智慧の本質は、人間心理への洞察であるとしました。
これは実はかなりユニークな考え方だと思います。

というのは、情報(知識)の分析力や判断力こそが、一般的には智慧だと思われているからです。
特にビジネスの世界ではそうでしょう。

しかし、最近の人工知能の台頭によって、これらは人間の専売特許ではなくなりました。
いや、実際のところ人間は、コンピューターの足元にも及ばない、というのが実情です。

人工知能がこのまま急速に発達していくと、近い将来に人間の仕事の大半がコンピューターに奪われる、という
予測さえあります。

そんな時代において、人間にしかできない仕事して最後に残るのは、森の言うように、人間心理に関わる仕事
ではないでしょうか。

作家 宮下隆二