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叡知の言葉32

我が国の当面せる重大問題は、結局は東西文化の統一なり。
根本において異質的なる東西両洋の文化を融合するは、
まことに容易ならざる大問題というべし。
しかも我々は現に掛かる時期に当面しつつあるなり。
されば我が国の現在は、
ある意味では有史以来未曾有の文化的混乱期ともいうべきか。

『下学雑話(三)』

東西文化の統一が日本の使命であるという思想は、森より35歳年長であった内村鑑三が、
すでに『地人論』で開陳していましたし、森も当然それを読んでいました。

インドに淵源を持ち中国を経て日本に伝わった東洋文化と、
ギリシャで発祥しヨーロッパからアメリカを経て太平洋を越えて日本にもたらされた西洋文化。
ペリー来航によって開国し、アジアで初めて近代化に成功した明治の日本人にとって、
文明の交点に位置しているという感慨は、特別に深いものがあったでしょう。

しかし、文化の本質を考えるならば、東西文化は思想家の卓見によって「統一」されるものでは
ありません。むしろ、戦争を含む政治的・経済的交流の結果、「融合」していくものでしょう。

例えば古代のヘレニズム文明が、
アレキサンダー大王のペルシャ征服によってもたらされたものであることを考えれば、
いささか皮肉ですが、
太平洋戦争の敗戦は東西文化の融合を推し進める働きをしたとも言えるでしょう。

そしてその過渡期においては、未曾有の文化的混乱、民族としてのアイデンティティの危機に
直面します。まさにこれこそ、現代日本の直面する状況に他なりません。
そうであれば、この混乱は新たな文化を創造するための生みの苦しみである、
少なくとも私はそう信じたいと思います。

作家 宮下隆二