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叡知の言葉93

どんなに美しい理想であっても、それが現在の自分の生活の中に生かされていなかったら、
虹のようにはかない一種の観念でしかない。真の意味で理想をもち信念をもっている人は、
それらがその人の日々の実践を導く強い原動力となっている。

『人生二度なし』

ここで森の言わんとしていることは、思想と実生活の関係です。

京都帝大で西田幾多郎に哲学を学んだ森は、当時の知的エリートに数えられる人でしたが、在野の思想家や
活動家たちと交わるようになり、正統な学問の世界からはドロップアウトしていきます。

当時森が、西田に、恋愛に悩む青年への対処を尋ねたところ、「そもそも学問(哲学)というのは、そういう問題
(恋愛)を扱う場所ではないのだ」と答えたという話があります。

西田の立場からすると、学問の場を実生活から切り離して、純粋な思索を追究しようとしたのかもしれません。
しかしそれは森には、象牙の塔にこもって、現実から遊離した理想論を弄ぶように見えたのかもしれません。

結局森は師範学校の教師となり、教職を目指す若者たちに哲学を教えることになります。
その際、現実の生活に立脚して人間の生き方を探求することを、学問の基礎として教育に当りました。

たとえば森にとっては、大学の構内で紙くず拾いをすることも、修行僧の如く全国を講演行脚することも、
学問上の重要な実践でした。

現代はメディア社会です。テレビの画面では、評論家や知識人が立派な意見を述べています。
しかし彼らが、現実の生活人としてどう生きているのかは、さっぱり分かりません。

そういう時代だからこそ、森の言葉の重みが増すのです。

作家 宮下隆二