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森信三 叡智の言葉5

或る人々
 祖国の またけきやぶれ 謳(うた)うがに 論ずる文(ふみ)を 今日も読みけり

他のひとびと
 戦いの 激しけき日に すさまじく 言いける人ら 今はいずこに

国の現状をみつつ
 自(し)が罪を いのちに透り 悔ゆる人と 語らまほしと 思う夜半もあり

『歌集 国あらたまる』

満洲から命からがら生還した森が詠んだ歌集から、三首を抜粋しました。
歌集は四部構成となっています。
敗戦後の混乱の中にある祖国を詠んだ「祖国に還りて」から始まり、
「ふるさと」「歳あらたまる」では、一転して故郷や旅中の風景が閑雅に描かれています。
そして「世のさま」で再び政治や人々の生活に視点が戻ります。

最初の二首は、「祖国に還りて」からの引用。三首目は、「世のさま」の最後。
全体のエンディングとなる一首です。あえてこの三首を並べてみました。

さて、簡単に注釈をしておきます。
一首目、「またけき」は完全なという意味。
日本の完膚なきまでの敗戦を、よいことであるように論ずる文章を今日も読んだ、ということです。

二首目、戦局が激しかった頃、散々勇ましいことを言っていた人たちは、
                                       いまどこに行ったのだろうか。

三首目、自分の犯した罪を、全身全霊で受け止め悔いている人と、
                                      語り合いたいと思う夜半もある…。

三首目最後の「思う夜半もあり」は、二字も字余りなので、できれば「も」を取りたい。
ですが、「思う夜半あり」では明快すぎて、きれいごとになってしまいます。
「も」を入れることで、ゴツゴツした異質な手触りになりますが、
それだけに森自身の迷いや苦悩が、生々しく伝わってきます。

作家 宮下隆二