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「滋賀県土地開発公社事件@」 「土地転がし」のルーツ

あの田中角栄氏の金脈問題で話題になった「土地転がし」のルーツとも言える事件で、当時の私にそんな
背景は発想すらなかった。

滋賀県土地開発公社は県と大津市の資金で土地を取得する。
つまり、価格を気にすることなく決済ができるから、売主の言い値で契約をすることになる。
よほど非常識な価格でない限り「取得OK」だから、業者には有難い。
こんな出鱈目なビジネスができたのは、一部の不動産業者が公社の取得予定価格を知っていたからだ。
しかも、その取得予定価格は業者と公社幹部が決めたものだったというから驚きと言うしかない。

繰り返しになるが、そんな事情を知らない私が、県警本部の捜査2課員に公社問題を質問してもバカに
されるだけだった。

ところが、記者クラブでもバカにされている私に、予想外の味方がいた。
「あのな、明日早朝に、捜査2課がニンドウに行くで」と、夕暮れになって記者クラブを出た私に、
たまたま廊下ですれ違った広報課の警部補がこっそりと耳打ちをしてくれたのだる。

「え、ニンドウですか」と間抜けな顔をする私に
「夜明けと同時にI助役の家へ2課が迎えに行く。多分、晩にはパクるやろ」とその警部補は小声で
教えてくれた。

「ニンドウ」とは任意同行のことで「パクる」は逮捕するという意味である。
それもこのとき呆れ顔の警部補が教えてくれたのだった。

翌朝、まだ薄暗い午前6時ごろ、私は支局の車を運転して大津市郊外にあるI助役の自宅へ向かった。

今思い出しても恥ずかしいが、支局の車には我が社の社旗が取り付けられてあり、
I助役の自宅前へその車で到着すると、薄明りの中から数台の車が走り出てきた。
「何しとんねん」「お前はアホか」という小声の罵声が聞こえた。
それは新聞各社の記者で、そこへ捜査車両も駆けつけてきた。
新聞各社の車は木陰や家の陰に隠れていたのだが、捜査2課員も路地の前後で待機していたのだろう。

その直後、捜査員がI助役の家の玄関チャイムを鳴らした。
しばらくしてスーツを着たI助役が姿を現すと、各記者とカメラマンがその後を追おうとしたが、
捜査員がそれを遮り、捜査車両にI助役を押し込んだ。

一瞬の出来事だったが、私も夢中になって持っていたカメラで助役に向けてシャッターを切った。

それが信じられないスクープ写真になるとは思ってもみなかったが、
これを契機に、この「土地転がし事件」はとんでもない経験を私にさせてくれるのである。

作家 津島稜