「包装」を通じ、あらゆる産業に貢献します。
>>トップページ  >>>NEWS  >>TOPページ
 ・新商品情報
 ・エンゼルコフィン
 ・ほかんくん
 ・宮下隆二のコラムTOP
 ・津島稜の世相を斬るTOP
 ・News VoL.1〜VoL.20
 ・News VoL.21〜VoL.40
 ・最新のNews一覧
10/27
 
「滋賀県土地開発公社事件B」 余談

土地開発公社事件は大津市の助役(元公社副理事長)が収賄・背任罪で逮捕・起訴され、
贈賄側の建設業者も同罪と脱税で摘発され有罪となり、結末を迎えた。

この事件捜査の過程で、さまざまな不正や疑惑が明らかになっている。

まず「土地転がし」。
土地開発公社は、琵琶湖南部、大津市の南東部で大規模な土地を取得する計画だった。
これは前知事(台湾で客死)時代に用地の調査や地元との交渉が具体化。
当時、全国最年少と話題になった新知事の体制下になっても公社内部で用地取得が進められたが、
その内容は新知事に報告されていなかったようだ。

「土地転がし」はいくつもの業者の間で転売が繰り返され、最終的に開発公社が買い取るという図式だった
。不正のポイントは、相場よりかなり高値に設定された買い取り価格について、公社と業者の間で密約が
交わされており、転売に加担した業者のグループがそれぞれ不当な利益を挙げるというところだ。
これが地元関係者の周辺から話題になり、疑惑捜査の端緒となった。
新知事は刷新を図ったが、県庁内部では不明朗な動きが渦巻いた。
業者との癒着、県警捜査員が業者の会社への天下りなど、この不正の根深さが明るみに出た。

当時「ロッキード事件」で総理大臣が逮捕され、全国の注目を集めていた。
「黒い金脈」とともに「土地転がし」も流行語になったほどで、滋賀県民にとっては不愉快極まりない記憶と
して残されている。

次に「おいたわしや」問題。
これは大津市の助役が逮捕されて、滋賀県警本部庁舎の取調室に向かう途中、たまたま廊下で県警本部
長の目に留まったことが発端だった。本部長は顔見知りだった助役を本部長室に招き入れ、雑談を交わし
たという。そのさいのやりとりが朝日新聞の1面のコラム「天声人語」で揶揄めいて紹介された。
そこで本部長が(逮捕された助役の姿に)「おいたわしい」と気遣ったというのだ。
これは朝日新聞大津支局の記者が独自で取材した情報を、本社の編集幹部がコラムの題材に採用した
のだろう。

私は、滋賀県警本部を担当していたので、県警記者クラブでも「天声人語」は話題になったことを覚えてい
る。もちろん、本部長とも何度も個人的に面談したが、残念ながら「おいたわしい」という言葉を私は耳にして
いない。

この本部長は警察庁からの、いわゆるキャリア官僚だったが、エリート意識を表に出すこともなく、
独特の、傲岸さのない気さくで正直な人物だった。県警本部の各社記者からかなり質問されたり嫌味を
言われたほか、警察組織からも批判を受けたかも知れない。
だが終始和やかな表情で、馬耳東風といった印象のまま滋賀県警を去られ、管区警察の局長を務められ
て勇退。約10年前に逝去されたらしいが、どこか事件捜査とは無縁の警察官僚だったと思う。

さて次は「雄琴トルコ」の醜聞。

琵琶湖の南西岸にある雄琴は、旅館も数軒の、いわばひなびた温泉地だった。
それが1971年(昭和46年)に、石川県・加賀温泉の業者が性風俗を目的とする店をオープン。
女性がサービスをする室内がトルコのサウナ風呂と似ていることから「トルコ風呂」という俗称が生れた
らしい。昭和48年までには幾つもの業者が進出し、約50軒の「トルコ風呂」が営業を始めた。
ただし「トルコ風呂」という名称は、トルコ共和国の関係者から抗議があったため、
59年に業界の任意団体「滋賀県特殊浴場協会」が「ソープランド」という呼称にしたらしい。

土地開発公社事件を取材している中で「不動産業者や警察官が雄琴トルコで接待を繰り返している」と
いう情報を得た。売春防止法(昭和33年施行)があるにも拘らず、全国各地のソープランドは法の”隙間“を
利用して女性に性サービスをさせていた。要するに売春なのだが、密室での行為という盲点が
あるため警察の摘発は困難だったという。

私が大津支局へ転勤になったのが昭和49年で、その直前にJR湖西線が開通し「雄琴トルコ」街も活況と
いう噂だった。湖西線西側の山手に新興住宅地が開発され、大手の不動産会社を含め多くの不動産会社
が活動していたので、私もトルコ業者を取材してみることになる。

その結果、笑い話のような体験をすることになるが、それは次回に回すことにして、
いずれにせよ土地開発公社事件はさまざまな思い出を残してくれたことに間違いはない。

作家 津島稜