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「滋賀県土地開発公社事件C」 余談

滋賀県特殊浴場協会

滋賀県土地開発公社事件は、さまざまな問題や課題を県民の前に露呈した。
新しい知事のもと、県庁各部局、関連団体の改善・改革が進行。
バブルの崩壊や土地開発ブームが去り、現在では安定した県政の運営が続いている。

私も県警や地検の取材に慣れ、当時、話題になり始めていた「雄琴トルコ」(ソープランド)について
県警防犯部(現・生活安全部)の刑事から「滋賀県特殊浴場協会」の存在を教えられた。
公社事件で一部の不動産業者や開発業者の「雄琴通い」を耳にしていたので、興味半分もあり、
その「協会」を訪ねてみることにした。

放り投げられた腕時計

琵琶湖西岸の国道沿い、トルコ街の入り口にあるビルの2階に「滋賀県特殊浴場協会」の看板が掲げて
ある。

変哲もない事務所に入ってみると、会長は不在で会長代行と事務局長と名乗る男がいた。
ほかには茶のサービスをするオバサンがいただけで、来訪の客の気配もない。

私が一応の取材を申し込むと、会長(代行)という五分刈りの中年の男が「新聞記者サンか。まあ座りいや」
とテーブルに腰を下ろした。
事務局長という男もその横に座り「新聞記者サンは初めてですな」と興味深そうな表情。
ヤクザの雰囲気はなかったが、二人とも独特の態度がある。

勧められて応接セットに腰を降ろすと、会長は協会について「健全で、みんな喜ばれている」などと自画自
賛のくだらない話を長々と続けた。私は聞く気にもならなかったので、自分の腕時計に目をやった。すると、
会長は自分の腕時計を外し、突然、それを私の前のテーブルに放り投げ「新聞記者やったら時間が大事
や。ええ時計をせんとあかんやろ」とニヤリとした。

これには私もさすがに激高して立ち上がった。
「おい、どういうことや。俺にこれを拾えというのか」とその腕時計を会長に投げ返したのだった。

会長は驚き、一瞬黙ったが、すぐに両手をテーブルにつき頭を下げた、「すまん、ワシが悪かった」と私に
笑顔を見せ、時計を自分の腕に戻した。

「あんたは若いのに、大した男やな」。
これを見ていた事務局長も「いや、会長の言う通りや。ええ記者サンですわ」と相槌を打った。
若気の至りによる馬鹿げた話だが、これがきっかけで、私はマスコミでただ一人、協会に出入り自由な記者
となったのだった。

作家 津島稜