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最高検VS特捜部長

昨年、大阪地検特捜部の検事が、
こともあろうに押収した証拠を改竄するという信じがたい事件があったことは、まだ忘れられない。
被告の厚生省の女性局長は、恫喝や誘導に負けず、公判廷でも徹底して否認を貫いた。
その過程で検事の悪業が明らかになり、彼女は危うく冤罪を免れたのだった。

この事件では、証拠を改竄した検事は当然、有罪であり、それに異論を挟む余地は無い。
だが、その検事の上司である当時の特捜部長と同副部長が、
問題の検事の犯行を過失で済まそうと指示したとして、犯人隠避の罪で逮捕・起訴された。

その裁判が始まっている。

そもそも刑事裁判で、容疑者を被告の席に座らせること(起訴=公訴提起)のできるのは、
検事だけの特権である。ということは、検事を起訴できるのも検事になる。
まして特捜部長といえば検察のエリートで、将来は検事正、検事長、ひょっとすると検事総長に
栄進する可能性のあるポストだ。

そのエリートを刑事訴追したのは、地検ではなく最高検だった。
最高検の検事は、裁判所で言えば最高裁の判事と同格で、民間会社に例えるなら、
本社の重役になる。

裁判は、両被告とも否認・無罪主張でスタートした。
法廷では両被告を応援する大弁護団、検察の威信をかけた最高検の検事が鋭く対立している。
プロ同士の争いになるが、それだけに小難しい法律論や手続きの応酬になりそうだ。
しかし、この裁判の本質は、部下の不始末にどう対応したかという単純で、われわれの周囲でも
よくある話である。

例えば、大阪支店のできの悪い営業部員が、己の成績を上げるために契約内容を誤魔化した。
ところが、その行為がバレる恐れが出て、取引先が激怒するのが確実になった。
それに気づいた同僚が係長に相談。
係長は部下を詰問したが、あいまいな返答しかしないため、係長が部長に相談。
部長は、支店長に報告するか迷ったが、会社にとって重要事項は契約の成立である。
できの悪い部下を叱りつけても営業部の恥になるし、何より契約の失効は会社にとって
大きな損失になる。
そして、それは部長である自分の責任…
営業部長が特捜部長、係長が同副部長、大阪支店長が検事正、本社が最高検で、
契約内容が起訴事実となる。

営業部長(特捜部長)は、契約が大事と思い、自己の責任も回避するため、
部下のうっかりミスで事を済まそうとした。
だが、取引先が不正に気づき、本社にもそれが報告された。
人を罪に問う検察庁と民間会社を同レベルで判断できないにしても、
この特捜部長と副部長の罪はどの程度のものになるのか。
いずれにしても、身内同士が理屈を捏ね合うこの裁判は、最高裁まで争われるはずだ。

しかし、結論は最高検(国)が勝つだろう。

司法の世界では百年以上にわたり、裁判所(最高裁)と検察庁(最高検)は一体となって、
個人の利益を守るより国益を最優先するという意思を共有しているからだ。

作家 津島稜