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娘さんが警察に相談したけれど

他人に物を貸したり、預けたところ、返してもらえない。
こうした話は、われわれの日常でよくある話だ。
これが金銭や、ビジネスでの商品になると刑事、民事のトラブルになり、
裁判所はこの種の訴訟で溢れかえっている。

私の知人の娘さんが、自分の趣味で大切にしているダイビング道具一式を、
南国のリゾートショップに預けたところ、返してもらえないと悩んでいた。

その娘さんは、叔父さんに相談し、叔父さんは「警察に頼もう」と知恵を授けた。
娘さんは友人にも相談し、友人は「横領事件の被害者として告訴しろ」と、
これまたアドバイスをしてくれた。娘さんは、正式な告訴状など作成できないから、
さらに法律事務に少々の知識がある知人にも相談し、警察に被害届を提出することにした。
ところが、警察署の窓口では「これは、警察で扱う問題ではありません」と、届けの受理を断られた。
そのとき「民事不介入」という言葉を知らされ、娘さんは叔父さんや友人にその結果を報告。
叔父さんたちは「警察は弱い者の味方なのに」と、強い不信感をあらわし、弁護士に相談を
持ちかけたところ、弁護士の答えも警察と似たり寄ったりだったという。
娘さんのグループは「警察や弁護士はなんて不親切なんだろう」と悲しんでいるらしい。

私は、この話を聞いてどちらの言い分も理解できる。
娘さんの被害者感情は、前述の通りで、大事な道具を取られてしまったと思っている。
南国へ行こうにも飛行機代や宿泊費がバカにならない。
一方、警察は、娘さんの訴えが真実かどうかをまず確かめなければならない。
次に、この種の被害相談があまりに多いことから、そのすべてを捜査し、立件するのは物理的に
不可能に近く、受理しても未決裁のままいたずらに時間が過ぎてしまう。
捜査に必要な人員、時間、社会的効果を考慮しても捜査経済の面でメリットが少ない。
警察の視点では「この娘さんは、警察を自分の代わりにして道具を取り戻させようとしている」と
見えたのではないだろうか。

凶悪な犯罪ならいざしらず、
民間の些細なトラブルに、いちいち警察を利用されてはたまらないというのが本音か。
だが、娘さんにとっては一生の一大事だ。彼女が、これからも警察を訪れることはまず無いだろう。
普通の善良な人であれば、警察に相談しなければならないことは滅多に無い。
一方、警察にとっては、犯罪者、悪人を日常的に相手にしているから、
善良な人と対峙することが珍しい。
警察官の日常は、普通の人にとって非日常であることを忘れがちになる。
昔の駐在さんのように、小さな、弱い人の相談に乗れる警察官も、たまには居て欲しい。

作家 津島稜