「包装」を通じ、あらゆる産業に貢献します。
>>トップページ  >>>NEWS  >>TOPページ
 ・新商品情報
 ・エンゼルコフィン
 ・ほかんくん
 ・宮下隆二のコラムTOP
 ・津島稜の世相を斬るTOP
 ・News VoL.1〜VoL.20
 ・News VoL.21〜VoL.40
 ・最新のNews一覧
 

「めでたさも…」

皆様、今更ですが、あけましておめでとうございます。
今年も徒然書いていきたいと思いますので、本年も宜しくお願いします。
さて、私は新年が明け、初詣をかねて今宮神社の「えべっさん」に出かけた。

ここ数年は参詣に行っていなかったが、
宵の口から境内は大勢の人でごった返しているのは相変わらずで、
大阪らしく「商売繁盛」を願う熱気には圧倒される。
私は、今年も「商売繁盛」と縁遠いだろうと、
あまり欲は出さないことにして「家内安全」と「無病息災」を祈願し、賽銭はワンコインだけ。
「えべっさん」は太っ腹だから、
貧乏人を苛めることはなかろうと、自分に都合が良いように信じることにした。

屋台で、ワンカップの熱燗をお神酒代わりにして寒気を誤魔化し、雑踏に押されて参道を抜けると、
新今宮の駅付近に出た。
そのままJRの環状線に乗っても良かったのだが、気まぐれで西成警察署付近を歩いてみた。
昔は「釜が崎」と呼ばれた地区で、今も薄暗い街並みを予想していたところ、
意外に明るい街灯が並んでいる。

かつて「ドヤ」と呼ばれた簡易宿舎は「○○ホテル」とか「××マンション」といった看板を上げ、
清潔そうな外観になっていた。
昔ながらの銭湯がありコインランドリーもある。
道端の自動販売機の横で、タバコに火をつけようとしたら「大将、歩きタバコはあかんぞ」と、
路地の奥からオヤジさんが注意してきた。
私は「これは、どうも…」と、頭を下げて、思わずの苦笑い。
ここでマナーを教えられるとは恐れ入った。
(念のために付け加えると、私は携帯灰皿を持っていました)。

何となく愉快になり、立ち飲みの酒屋に入り、お神酒を追加することにした。
ふとカウンターの後ろを見ると、落書きがしてある。

 「めでたさもここより下なし ドヤの春」

板壁にマジックインキで、意外と達筆だった。
これは小林一茶の句「めでたさも中ぐらいなり おらが春」をもじったものだろう。
思わず「ほう」と感心させられた。
一茶は、不遇な暮らしだったらしいので、
正月気分もそれほどではないと、自虐気味に表現したようだ。
それに対して、この立ち飲み屋の客は(正月気分もこのドヤ街より下はない)。
つまり一茶の貧乏暮らしはここ(ドヤ街)よりましだ、と皮肉ったのだろうか。
新春早々、面白い発見だった。

「釜が崎」は「あいりん地区」と呼び名が変わって久しい。
長い間、社会的に蔑視されたこともあったが、この街にも少しずつ新しい時代の変化がある。
中高年世代が多いのは相変わらずとしても、明るさが生まれている。
世間では、今年は不況から脱出するという声があるようで、
この街に活気が溢れたら、本当に不況から脱出した証拠だろう。
大阪の知事さんや市長さんの力量を測るリトマス試験紙のような街だから、今年は注目したい。

作家 津島稜