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春は名のみの…

「春は名のみの…」という唱歌がある。美しい旋律と情趣豊かな詩で、多くの日本人を魅了してきた。
まさしく辛く長い冬が終わろうとするとき、人々は暖かさと明るい日差しを期待する。
だが、暦の上では春と言われても、戸外は冷たいままで、見上げれば昨日と同じ雪空だ。
春を告げる草花が芽を出しているものの、今日の寒さはひとしお身に沁みる。

そのような心情を歌った曲で、人それぞれに感慨を味わうのだろう。

沖縄や九州など南国の人々には、それほどの思いが薄いかもしれない。
しかし、雪に閉ざされてきた北国の人々には、待ち遠しい、春である。

東日本大震災から三年が過ぎた。
あの日が近づいたころ、東北の人々のうち何人かはこの歌を口ずさんでいただろうと思う。
それが、凄まじい地震と大津波で、ふるさとは消滅した。
桜の花も夏の豊かな緑も、秋の実りも見ることができなくなった。
それどころか、住まいも無くなり、家族や知人の多くが犠牲となってしまった。
さらに原発事故。被災を経験した人たちは、この「早春賦」の曲をどのような気持ちで聴くのだろうか。

未だに仮設住宅で暮らし、復興もままならない。
なかでも放射能汚染を受けた地域の人々は、我が家にも帰れない。
具体的な将来展望も明示されていないし、被爆の根本的な治療法もない。
こんな「ない、ない」がこれから何年、あるいは何十年、何百年続くのだろうか。

あのときの内閣や関係省庁の愚を今更言っても仕方がないが、
今、安倍首相は「原発再稼動」を明言している。
エネルギー問題や経済効果など、その理由を説明しているとはいいえ、
それに頷いているのは利権を守ろうとする業界人、それに「安全神話」を過信している人たちだ。
福島県の人々を始め、被爆を経験した人たちが笑顔で賛成しているとは、とても考えられない。

「千年に一度」の悲惨な教訓を、どのように活かしていくか。
この難題を解決できる人物が姿を現してくれないものかと
「千に一つ」の期待をする自分が滑稽に思える。

被災地はもちろん、日本に明るい日差しと、暖かく快適な「春」が訪れるのはいつのことだろう。

作家 津島稜