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京都、パリと人種差別

そろそろ散り始めた京都の夜桜を眺めたあと、友人に鴨川近くの居酒屋へ誘われた。

そう広くもない店内はほぼ満員で、なじみ客らしいオヤジ連中に混じって外国人の姿が目立つ。
私たちが座ったのは、カウンターから離れた壁際のテーブルだった。
たまたまオバサンたちのグループの隣で、彼女らは花見帰りらしく「やっぱり日本はええねえ」「京都が
一番」「春も夏も、一年中何とも言えん風情があるわぁ」などと日本自慢、京都自慢で盛り上がっていた。

そこへ数人の外人グループが店に入ってきて、私たちの近くの席に座った。
外人と言っても黒人ばかりで、甲高い声と動き方や表情は独特だ。

彼らがビールで乾杯するのを横目で見ていたオバサンたちは、急に小声になり「あの人ら、京都には
似合えへん」「行儀も悪いしなあ」「顔見たら、気持ち悪い」と、外人グループが言葉を理解したら怒り出し
そうな会話…。

友人と私は顔を見合わせた。
彼も小声になり「京都は世界的な観光地になったから、いろんな人が来る。黒人が来てもええがな。
オバちゃんらも歓迎したらなあかん」と苦笑いをしてみせた。

たしかに、京都のご婦人方にとって、見知らぬ黒人男性たちと身体を接するほど間近に居合わせる経験は
まず無いだろう。

京都人は歴史的にも芸術、文化、そして自分の親、子、家柄に誇りを持っている。
先祖代々、そんな風土で育っているから、東京に対しても大阪に対しても、内心は「上から目線」。
日本中に対しても同じだから、外国人、まして黒人に対してはひときわのものがあるようだ。

黒人グループに嫌悪感を示したオバサンたちの態度を見ているうちに、EU諸国のシリア難民に対する差別
問題を思い出した。

フランスやベルギーなどの連続テロで、IS(イスラム国)の兵士がシリアからの難民に紛れてEU諸国に潜入
してくることから、シリア難民に対して過剰な警戒を開始。
そのニュースに接した先進諸国に難民に対する拒否活動が顕著になった。

「自由・平等・博愛」を掲げるパリ市民たちの間でも、最近はアラブ系民族や黒人に対する露骨な差別運動
が目立ってきた。パリ市民は、歴史的にも世界の文化、芸術の中心だったことは今さら説明する必要もない。
これまで彼らが寛容な態度を示すのは、他国、他民族に優越感を持っているためだろうし、
アジア民族やアフリカの後進国に「上から目線」を示してきた。

その点で、どこか京都人と通じるところがあるような気がするが…。

見事な夜桜を見て、京都もパリも満開の桜のような歴史を誇ってきた。だが、桜はすぐに散ってしまう。
そのあとの若葉の勢いは強い。
オバサンたちが帰る姿を見送って、世界の歴史も、そろそろ変わっていくような気がした。

作家 津島稜